「わたしの畑の小さな世界」を読んで

この本は、木村秋則さんの文と横山拓彦さんのイラスト、杉山修一さんの監修で、できあがっている

この本を購入しようかどうしようか、しばし考えました。なぜって、じつはこれを購入した日は6月18日の土曜日、友人の結婚披露宴2次会に参加するために東京に行っていた日だったからです。あとでアマゾンで購入するという手もあったのですが、どうしても読みたくて、荷物になるのは、わかっていたんだけど、購入しました。

文章は木村さん、木村さんらしい文章です。文章はやはりその人が現れます。イラストは弘前大学大学院の修士、博士課程で昆虫生理学を専攻し、昆虫の生態観察力を養う目的でスケッチを描き始め、博士号取得後、イラストレーターとして独立をされた横山拓彦さんです。イラストなんですが、昆虫図鑑みたいです。杉山修一さんは弘前大学農学生命科学部教授で、木村さんのりんご園を長年研究された方です。

これだけの豪華メンバーで書かれた本です、面白くないはずはない、はい、そのとおりです。

一月から十二月までの畑の写真と虫の様子がかかれている

木村さんの畑の1月から12月までのことが書かれています。それぞれの月の最初は木村さんのりんご園のその月の写真がのっています。畑の四季は青森の自然といったいとなって、冬は雪の厳しさを春にはリンゴの枝を、初夏には花を、秋には赤く実ったりんごの木々を写していました。

月ごとに行う作業や、木村さんの考えていることや、虫たちのことなどが、そして、いろいろなデータがのっていました。

無農薬、無肥料、無除草剤で農作物を育てることに、懐疑的になる人は多いと思います。そこは、杉山先生のデータの出番です。長年木村さんのりんご園を研究しており、木村さんのりんご園と慣行栽培のりんご園で様々な比較をしたものがグラフ化されています。(p56~P57)
①肥料の代わりに知力を高める土壌中の、窒素、リン酸、カリウムの比較グラフ、土壌微生物量の比較、これはリン酸は慣行栽培の畑の方が多くありますが、その他のものは木村さんのりんご園の方が多いです。
②殺虫剤の代わりに害虫を駆除してくれるであろう、昆虫相の比較データ、これは圧倒的に木村さんのりんご園の方が数が多いです。
③殺菌剤の代わりに病気を抑える内生菌の種数比較のデータ、葉と果皮を調べた結果、木村さんのりんご園の方が多いです。

木村さんは、やはりなんかすごい人だと再認識

木村さんの文章は、なんて穏やかで優しいんだろうと、読むたび思います。見た目はとても普通の、細い田舎のおじさんって感じの人です。でも、この自然栽培について、「自分は基礎の基礎をわかっただけだ、だからこの栽培をしてくれる人を増やしたい。私よりもっといい自然栽培の方法をみつけたら、今度はそれを皆さんが、また周囲の自然栽培をする仲間に伝えてほしい。」と、いいます。
10年間の極貧生活の中でやっとつかんだ自然栽培、しかし、惜しみなく人々に伝えてくださいます。自然栽培をするときに、もし自分がまよったり、あらぬ方向へ行きたいとか思ったら、木村さんを思い浮かべると思っています。木村さんが命をすり減らして見つけた、自然栽培です。それをやろうと決めたのは自分です。いつも目の前に謙虚にひたむきにこの栽培方法を広めよう奮闘している人がいる。そのような姿が、自然栽培を志す者に、自然に対して謙虚であれ、誠実であれと無言で諭してくれているように思います。

木村さんは、見た目普通だけど、でもめちゃくちゃ凄い人だと再認識しました。

 

投稿者プロフィール

八木裕子
八木裕子
当ブログを訪問してくださりありがとうございます。

私は、千葉県匝瑳市在住で、自然栽培で野菜を作っています、八木裕子です。

長いこと公務員をしていましたが、2012年3月に退職し、木村秋則自然栽培ふれあい塾で自然栽培について学び、現在もその自然栽培にこだわった農業をしています。

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