獄中記 読了

この本の著者は佐藤優氏です。外務省で情報分析官として活躍していた人です。

その人が、国策捜査で有罪判決が出るまでの512日間、東京拘置所にいたときの記録です。日々読んだ本のことや、弁護士にあてた手紙、大学の神学部のときの友人にあてた手紙、外務省の若き友人にあてた手紙、佐藤さんの考え方の根本となるものに触れる事などが書かれていました。佐藤さんの精神的バックボーンとなっているのは、プロテスタントとしてのキリスト教信者と書いてありました。私には、宗教的なことが、正直言うとわかりません。ただ、犬養道子(カトリックのキリスト教信者)さんが、宗教という物差しをもつことの重要性について、以前何かの本で読んだ記憶があります。そのときも、なんか言わんとすることが理解できませんでした。

限られた空間、接見禁止のため限られた人(弁護人、拘置所の職員)のみとの会話、しかし、猛烈に仕事をしてきた人にとって、この国策捜査を「運が悪かった」といいながら、このようなことはあるものだと達観している。権力を持つものが個人をだーゲットにした場合、どうにでもできるかもしれないが、佐藤さん個人としては、国策捜査だから、有罪はすでに決まっているシナリオとしても、それをそのまま受けれることはできないと、検察官と対峙した記録でもあります。

読んでいて、特に感じたのは、佐藤さんの精神的な強さ(プロテスタントとしての立ち位置がはっきりしていることによる)と、一緒に仕事をしてきた鈴木宗男衆議院議員に対する尊敬と信頼でした。鈴木さんと仕事をしたのは本来の目的を達成するために、それができる人だから信頼して仕事をしてきた、打算ではなく真摯に仕事に取り組んできた、だから鈴木さんに対して、誠実でありたいと思っていたこと、事実そうしてきたことが、文面から伝わってきました。

また、長いスパンで考えをめぐらしていたんだなと、外務省の友人や、神学部の友人へあてた手紙から、理解しました。

知識人とは、どのような人を言うのかというのもおぼろげながら、わかったような気がします。しかし、この本に出てきた、哲学的な考え方、それもいろいろな派があり、それらの違いにも言及している、一般の読者を想定してわかりやすく書いてくれたことは想像できるのですが、それでも、私には基本的素養がないので、よくはわかりませんでした。

しかし、佐藤優という作家(でいいのかな?)の、本はこれからも読んでいきたいと思いました。とても気になる人です。

投稿者プロフィール

八木裕子
八木裕子
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私は、千葉県匝瑳市在住で、自然栽培で野菜を作っています、八木裕子です。

長いこと公務員をしていましたが、2012年3月に退職し、木村秋則自然栽培ふれあい塾で自然栽培について学び、現在もその自然栽培にこだわった農業をしています。

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